総会・大会

2024年度大会 発表要旨(プレゼンテーション)

発表要旨(プレゼンテーション)

10:00-12:00 (多次元デザイン実験棟・デザインコモン)
※プレゼンテーションは複数の発表が同時並行で進行します。

場所 A (多次元デザイン実験棟オープンスタジオ) B (多次元デザイン実験棟2階203) C (デザインコモン1階)    D (デザインコモン2階)

時間 ①10:00~10:30  ②10:30~11:00 ③11:00~11:30 ④11:30~12:00

プレゼンテーションA①10:00~10:30 実践報告「ホスピタルアート受講が学生の共感力、プロフェッショナリズム教育に及ぼす効果 - 2年間の追跡調査結果 –」

池田行宏(近畿大学医学部)、森口ゆたか(近畿大学文芸学部)、三井良之(近畿大学医学部)

【キーワード】ホスピタルアート、共感、プロフェッショナリズム教育

【発表要旨】【背景・目的】 「ビジュアルアート教育」は「観察・診断力の向上」「共感力」「コミュニケーション」「ウェルネス」「感受性」といった医師に必要な能力を涵養するとされている1)。医師の共感する力を測定にはJefferson Scale of physician Empathyが80か国以上で使用されている。学生に向けてはStudent version(Jefferson Scale of Empathy-Student Version: JSES)も開発されている。そこで今回の報告では、本邦初となる「ホスピタルアート」を冠した授業を実施し、JSESに加えて、日本で開発された、多次元共感性尺度を用いて、学生のどのような共感力に影響があるか、また、授業終了後どのように影響するか検証することを目的とした。 【方法】 2022年度医学部1学年の学生で、「ホスピタルアートによる患者ケア」という授業を実施。1学年116名(内、ホスピタルアート受講者22名)に、多次元共感性尺度を用いて、ホスピタルアート受講がどのような共感力に影響があるか検討した。また、JSESを用いて入学時、9月に2回、1年後に測定、共感力にどのような変化があるか追跡調査した。 【結果・考察】 多次元共感性尺度では「相手を批判するときは,相手の立場を考えることができない。」「人が頑張っているのを見たり聞いたりすると,自分には関係なくても応援したくなる。」「他人の感情に流されてしまうことはない。」といった項目で、ホスピタルアート受講者のスコアが高かった。 JSESは1学年時の測定3回のすべてにおいて、統計的有意差は認められなかったものの、ホスピタルアート受講者のスコアが高かった。特に9月、プロフェッショナリズム授業開始時の両者の差は開いており、ホスピタルアートの受講や経験が、プロフェッショナリズムの授業を受講する際の心構え(レディネス)に好影響があることが示された。さらに1年後、ホスピタルアート受講者のスコアの上昇が、非受講者に比べて大きかった。このことはホスピタルアート受講が、1年後の共感力にも良い影響を与えていることが覗えた。 【参考文献】 1) Mukunda N, et al. Medical Education ONLINE, 2019; 24

プレゼンテーションA ②10:30~11:00 研究発表「ホスピタリティアート・プロジェクト 2009−2024」

三浦賢治(金沢美術工芸大学)

【キーワード】HAP

【発表要旨】金沢市立病院と金沢美術工芸大学が連携するホスピタリティアート・プロジェクト(HAP)は、医療分野におけるアートの潜在的な可能性について調査研究し、実践していく取組みとして、2009年に発足以来現在まで15年にわたり継続しているプロジェクトである。 本プロジェクトは、「ホスピタル(hospital)」の原義である「ホスピタリティ(hospitality)→もてなし」の精神を互いの共通理念としている。ホスピタリティを「ケア」と読み替え、病気からの快復と日々の健康を願う市民に対し、創意と表現そしてコミュニケーションとしての「アート」を活かし、医療と芸術をつなぐ領域からの新しい医療活動及び芸術活動を発信することを目指してきた。 プロジェクト開始当初(2009年)は、金沢市立病院と金沢美術工芸大学との会議を重ねながら活動の方向性を探る中で、金沢美術工芸大学の美術・デザイン・工芸それぞれの分野の特質を生かした企画を提案し、それを金沢市立病院が受け入れる形で作品展示やワークショップが実施された。  本プロジェクトは一つの自治体の括りの中に行政、医療機関、芸術系大学がバランスよく協働する関係が成立しており、その構造において、アートプロジェクトのあり方として全国的にみても幸せな環境にあったといえるかもしれない。そしてその状況、関係性は、本プロジェクトが15年間安定的に継続する上での土台となっていたと思われる。 これまでの活動を重ねていく中で、近年金沢市立病院は「地域がつくる安らぎの医療」を唱え、病院近くの施設に「まちなかサロン」を設け、地域住民に向けた健康増進のための市民講座を定期的に実施している。一方、金沢美術工芸大学では大学としての社会貢献の実績のほか、プロジェクトに参加した学生が創造についての新たな視点を見出す機会を与えてきたと考えられる。しかしながら教育に還元する具体的な形(例えば新しい芸術分野の創出に向けたプロジェクトの単位化など)には至っていない。金沢美術工芸大学以外にも医療とアートの協働に取り組む芸術系大学の活動は見られる中で、これまでに蓄積する記録を学術的視点で取りまとめ、本学におけるプロジェクトの社会的意義と今後の展望についての指針を示す必要があると考える。本発表では、プロジェクトコーディネーターを務める発表者の視点からプロジェクトの立ち上げから現在に至るまでを総括し、ケアとアートの関係を示す一例として紹介することで、ホスピタルアートにおける本プロジェクトの立ち位置を問う機会としたい。

プレゼンテーションA ③11:00~11:30 実践報告「筑波大学附属病院におけるアート&デザイン活動の整理とその課題」

松﨑仰生(筑波大学附属病院、筑波大学芸術系、特定非営利活動法人チア・アート)、篠崎まゆみ(筑波大学附属病院)、小山慎一・村上史明(筑波大学芸術系)、樫村宙子・佐藤恵美(特定非営利活動法人チア・アート)、岩田祐佳梨(筑波大学芸術系)

【キーワード】病院 アート デザイン 大学 アートコーディネーター

【発表要旨】茨城県唯一の特定機能病院である筑波大学附属病院(809床)では、2002年より筑波大学芸術系の教員や学生と協働し、療養環境の改善を目指したアート&デザインに取り組んでいる。本院では病院職員と芸術系によるワーキンググループ「病院のアートを育てる会議」を主体とした会議を月1で開催しているほか、会議運営や各活動の調整などを担うアートコーディネーター(以下、AC)が在籍し、現在約15件の活動を展開している。こうした一連の取り組みには本院の経常予算が充てられ、ACが担当教員や学生と相談しながら各活動に分配をしている。国内の病院でのアート&デザインの実践は、大学等の教育機関による実践が多く見られるが、医療と芸術に関わる学内組織が連携した継続的な実践はあまり見られない。本報告は、第一筆者がACに着任した2020年から現在までの取り組みに着目し、参与観察から得た活動内容を整理することで、現状の把握およびその課題を明らかすることを目的とする。  本院での活動は、授業作品や優秀作品の展示など病院での展開を前提としていない「病院を巡るもの」と、病院での展開を前提とした「病院から生まれるもの」に分けられる。さらに後者は、空間改修やサイン計画などの「病院をつくるもの」、職員や医療器具をモデル、素材とした作品などの「病院をモチーフにつくるもの」、院内での滞在制作などの「病院でつくるもの」、ワークショップなどの「病院にいる人々とともにつくるもの」に分けられる。「病院を巡るもの」は、作品形態や展示場所を固定化すれば継続的な運用が容易であり閉鎖的・無機質な院内に彩りを与えられるなど即効性のある活動といえるが、授業や制作目的と病院のニーズの齟齬が生じる場合がある。一方「病院から生まれるもの」は、病院のニーズを満たすだけでなく、病院に対する新たな視点の提示や、患者や職員との交流、芸術と病院が交わる領域における表現の拡張なども期待できるが、様々な活動形態が予想されるため患者への配慮事項など慎重な議論と現場調整を要し実施までに時間がかかる点や、指揮・指導する教員の負担、学生と現場とのマッチングの難しさなどが懸念点である。  以上、本院におけるアート&デザイン活動について、方向性が異なる2種の活動に分類し、それぞれの価値と難点を整理した。現状は活動の違いを十分に考慮できていないなかで両者の内容を検討し、意見のすれ違いが生じたまま深い議論へとつながらない場面も見受けられる。また近年の会議は、論点が活動の安全性ばかりに集中しそれに基づいた実施可否の決定に終始してしまっている点も課題といえる。活動開始以来、本院は多種多様な活動を実施し、それらの実績をもとに予算確保やACの設置などの体制を整え、その後も継続的に取り組んできた。22年経過した現在、上述の内容を指標の一つとしながら、本院での活動方針の整理が必要だろう。今後は「アート&デザインを通じて、病院をどのようによりよくしていきたいか」といった本質的な問いをワーキングメンバーで共有しながら、病院と芸術系の共創の場を創出していきたい。

プレゼンテーションB①10:00~10:30 実践報告「ドイツ生まれの滞在型市民農園「クラインガルテン」及び「オープンガーデン」からの実践報告―健康寿命維持への提案「庭育」と「田舎暮らし」」

西野昌克(関西医科大学看護学部)

【キーワード】クラインガルテン オープンガーデン イングリッシュガーデン 田舎暮らし

【発表要旨】2022年新型コロナ渦のなかで大学教員を退職し、これまで都市生活を送ってきた私は、心の故郷を求め兵庫県朝来市の滞在型市民農園「クラインガルテン伊由の郷」に入居し、以降大阪の自宅との2拠点生活を送るようになる。 兵庫県朝来市は雲海で有名な竹田城跡や生野銀山跡が観光資源であり、2005年には朝来町、和田山町、山東町、生野町が統合されている。1999年には広大な公園に野外彫刻を設置した「あさご芸術の森美術館」がオープンする。 クラインガルテン(Kleingarten)の入居者の多くは都市生活者であり、週末には畑で作物を有機栽培することを楽しんでいるが、当初私は有機栽培に興味を持てず、以前よりガーデニングを趣味にしていたこともあり、雑誌によく紹介されている「イングリッシュガーデン」を目指し、バラや宿根草を定植し植物と深く対峙するようになる。 生物学者、植物学者でもない私が植物と共生するのは空間デザイン或いはランドスケープデザインとしてのフィールドワークであり、いささか個人的な老後の過ごし方への提案でもあるが、実践を通して気づいたガーデニングの効能をまとめてみたいと思う。 植物を育てるなかで植物の持つ感性や不思議な体験を通してヒトの営みと健康、共生について考えるようになった。 ドイツ語で「小さな庭」を意味するクラインガルテンは、日本でも2000年頃から地方自治体によって整備され、家庭菜園やガーデニングする目的で都市生活者を中心に全国に広がる。 また自宅の庭を公開する市のイベント「あさごオープンガーデン」に参加し、多くの市民や庭仲間との交流から見えてくる自然豊かな地方の発展と課題をまとめて発表したいと考える。 現在勤務する関西医科大学の総合医療センターには、「ホスピタルガーデン」が整備され、入院患者(リハビリテーション)やご家族の散歩に利用されている。 医療との直接的な関わりはないものの、庭や植物とヒトとの関係性に多くの学びがある。

プレゼンテーションB ②10:30~11:00 研究発表「認知症の人と地域コミュニティを仲介するアーティストの役割と課題 ~アートマネジメントの視点からの考察~コミュニティとの連携における課題~」

大村直子(東京藝術大学大学院美術研究美術専攻先端芸術表現研究領域博士後期課程3年)

【キーワード】認知症、地域コミュニティ、仲介

【発表要旨】現在、認知症の人々と地域コミュニティを仲介するアーティストの役割と課題を明らかにする研究に取り組んでいる。口頭発表においては、特にアートマネジメントの視点から、コミュニティとの連携における課題について考察する。アートマネジメントの理論と実践を踏まえ、コミュニティとの連携における主要な課題を以下の観点から検討する。 まず、中間支援団体の必要性である。認知症の人々を対象としたアートプロジェクトは多岐にわたるが、その多くが個別のアーティストや小規模な団体によって運営されている。これらのプロジェクトを継続的かつ効果的に推進するためには、中間支援団体の存在が不可欠である。中間支援団体は、プロジェクトのコーディネート、資金調達、広報活動など、多岐にわたるサポートを提供する役割について検討する。 次に、プロジェクトの評価と成果の測定の重要性である。アートと認知症の分野におけるプロジェクトは、その効果を定量的に評価することが難しい。どのような手法であれば、プロジェクトの成果を客観的に示すことが可能になるのか。プロジェクトの有効性を証明し、さらなる資金調達や支援を得るための基盤を築くための評価測定について検討する。 また、アーティストの育成も重要な課題である。認知症の人々と共に活動するアーティストには、高度な専門知識とスキルが求められる。そのため、アーティストの育成プログラムを充実させることが求められる。特に、認知症の理解やコミュニケーション技術の向上、倫理的な配慮など、実践的なスキルを身につけるための研修が必要である。 最後に、これらの課題を総合的に解決するための考察とまとめとして、関係者間のネットワーク構築や情報共有、プロジェクトの持続可能性を高めるための戦略的なプランニングについて検討する。これにより、認知症の人々と地域コミュニティとの連携がより円滑に進み、アーティストの活動がより一層充実したものとなることが期待される。 このような視点から、認知症の人々と地域コミュニティを仲介するアーティストの役割と課題について、考察する。

プレゼンテーションB ③11:00~11:30 実践報告「ワークショップ『人とつながり,アート&ケアに出会う』の可能性」

正保正惠・渋谷清・池田明子・古山典子・山内加奈子・宮前良平・大谷悠(福山市立大学)

【キーワード】つながり、アート、ケア、出会い

【発表要旨】本研究の目的は,市内の子育て世代包括支援センター(日本版ネウボラ)と連携しながら大学独自の拠点を作ることをめざして,アートを通した安心・安全を感じる学びをプログラム化し,個人や社会にもたらす変化を評価していく足がかりを作ることである。また,新しいタイプの大学発の子育て・親育て拠点の在り方を問う。 今回の実践の下敷きにしたのは,Geoffrey Crossick, Patrycja Kaszynska (2022)である。Art & Careに関心を持つ教員がそれぞれの専門を生かしながら,連続講座を開いた。大学と地域の行政が連携した異分野グループよるパイロット的ワークショップの参加者にThe AHRC Cultural Value Project の研究成果に基づく「個人の内省」,「アイデンティティ」,「主観的幸福感」などの項目について感想を書いていただいた。 自転車発電で電気をつくろう(大谷):参加者がオリジナルのランプシェードを作り,その後参加者自身が自転発電を動かし,ランプを灯した。こだわりのデザインとストーリーをもったランプを作ることで自らの世界観を表現する。 音楽づくりを気軽に楽しもう(古山):本活動は,集団から個の音楽経験へと展開しつつ,多様なイメージが可能な「雨」をテーマとして,図形楽譜を用いながら無作為に鳴る音に自分の音を合わせる形で創作に取組む。 絵本の世界を愉しもう(池田):絵本の世界にゆったりと浸ってみることで,あるいは参加者の皆さんと語り合うことで,自分の感じ方を大切にしたらいいんだなということを感じ何気ない日常を心豊かに過ごすことの大切さに気付く。 背守刺繍で想いを伝えよう(正保):背守刺繍とは,江戸時代から伝わる背中に(縫い)目を作ることで「魔物」から子どもの命を守るための「おまじない」。不安の時代を生きる現代においても,刺繍を通して安心を感じる。 何気ない日常を想起しよう(宮前):日常記憶地図ノート(サトウアヤコ)を用いて,普段思い出すことのない何気ない日常の想起を通じて,参加者自身の生きてきた記憶の地層が掘り返す。また,それぞれの語りを聞きあうことが集合的なケアの場を作る。 「絵でコミュニケーションしよう」(山内):描画行為は,自身でコントロールできない部分をもち無意識が投影される側面がある。そのため,自分が気付かなかった状態を知り,自己理解や洞察の契機となる。 「みんなで楽しむ造形遊び」:色画用紙などの材料を使い,床一面に広がる大きな木を創り出した。みんなで材料を切ったり,並べたり,つなげたり,重ねたりする活動を通じ,徐々に巨大な木が出来ていく喜びを共有する。 参加者の感想からは,「個人の内省」,「アイデンティティ」,「主観的幸福感」などの項目についてプラスの評価がなされ,さらに大学を拠点に自分たちが研究をしながら新たなワークショップを作っていきたいという創発がなされた。
参考文献 Geoffrey Crossick, Patrycja Kaszynska (2022)『芸術文化の価値とは何かー個人や社会にもたらす変化とその評価』水曜社

プレゼンテーションC ①10:00~10:30 実践報告「ART/3Cアトリプシー わたしたちでつくる、ケアとアートのしくみ ー遊びごころのある自己表現を用いた、コミュニケーションデザインの実践的考察ー」

榎原理絵(井村理絵)(さつきデザイン事務所)

【キーワード】がん患者 ケア アート コミュニケーションデザイン つながり

【発表要旨】本報告は、がんを患う当事者として筆者が闘病者とその家族・友人のQOL向上のためにケアとアートのしくみ(愛称:ART+3C/アトリプシー)を構築している中で、アートを用いた自己表現と社会とつながるためのコミュニケーションデザインについて考察したものである。 人生100年時代といわれる超高齢化社会において、日本のがん患者は、2023年の統計によると約100万人を超えて存在する。一方で、医療の進歩により生存率は向上し、がん患者は長く続く治療や治療後の生活の中で、病気や過酷な治療によって髪の毛が抜けるなどの容姿の変化に対して悩んだり、思うように仕事ができず解雇されたり、仕事を失うことへの不安に直面する。今回は、筆者と同じ乳がん罹患者とご家族、そして、AYA世代、小児がんと闘う子どもたちと親とともに活動した内容について報告する。 まずは、困難な状況において、自己に生じた苦痛をありのまま受け入れ、その苦痛を緩和できるよう自己肯定感の回復サポートを行うために芸術を手段とし、アルコールインクアートのワークショップを検討し実施した。このワークショップを通じて、自己表現するきっかけを試みた内容と参加者の気持ちの変化について結果を報告する。次に、個人の境界線を越えて筆者との関わり合い、互いに影響し合うことを目的として、作品が選ばれた参加者に対して、その絵に込めた思いをタイトルと文章で表してもらい、その作品を筆者が編集してスカーフの柄に落とし込み視覚化した。さらに、インクジェットプリンターを用いて印刷し、縫製を行い110㎝×110㎝のシルクやコットンのスカーフに仕上げた。参加者が好奇心を持ってこの活動に取り組めるように、自分自身の力や考えを信じて、前向きに可能性を追求して楽観性を持てるように、その仕上がったスカーフを参加者に纏ってもらい、本格的な撮影を実施した実践内容について述べる。 このプロセスを経て、筆者と参加者が、ありのままの自分を認められるようになったか、自己肯定感の回復につながっているか、闘病者であっても良く生きること(well-being)が目指せているか、つまり、ケアにつながっているかどうかをヒアリング調査を元に分析する。また、人や社会とのつながりができたかについては、結果が得られるまで時間を要するため、まずは社会で暮らす闘病者ではない人達に対して、わたしたちのことを知るきっかけや気づきを与えられるようなコミュニケーションデザインの手法について触れたい。 当活動の目的は、わたしたちと呼べる関係性を社会に増やすことで相互ケアを生み出し、関わる人々のQOLを向上させることである。したがって、その目的に到達できるしくみになりうるかどうか研究を交えながら実践し、社会的意義のある活動になるよう事業目線も踏まえながら評価し、今後の課題と可能性について考察する。

プレゼンテーションC ②10:30~11:00 実践報告を基にする研究発表「アートとケアが出合うときⅡ―子どもの言葉と大人の言葉のあいだに生まれるもの」

佐治由美子(学校法人 愛育学園)

【キーワード】保育 表現 実践研究 人間現象の理解

【発表要旨】保育において子どもの出す声や音、身体の動き、紙や砂の上に描かれる線などを表現と捉えるなら、それらはすべてアートと言ってもよいでしょう。その子どもの表現には、子どもの喜びや悲しみなどいろいろな感情が表されています。保育者が子どもの表現に立ち合い、ましてそれが保育者に向かって差し出される表現であるとき、保育者はそこに込められている子どもの思いに向き合い、それに応えていこうとします。子どもの思いを受け取り、それに応答する保育が子どもを支えていくことになる場合、それは、子どもにとってのケアに結びつくことがあります。 今回の発表では、子どもの言葉による表現に焦点を当て、ある子ども(特別支援学校4年生男児)が筆者に投げかけてきた問いの言葉から始まる保育場面について考察していきます。 筆者は愛育学園(幼稚部・小学部)に所属する子どもたちの特別支援教育に携わりつつ、保育の中に浮かび上がる人間現象の理解に向けて研究を進めています。保育の中に見出すことのできるアートとケアの出合いのとき(瞬間)ついて、筆者自身の実践記録を通して明らかにしていく実践研究からのアプローチです。 愛育学園では、小学部の子どもたちに対しても保育という用語を用いています。その理由は、一言で言えば、子どもを主体とする学校を目指しており、いわゆる時間割のない学校生活をつくっているからです。カリキュラムを子どもが成長していく上でたどるコースというラテン語本来の意味でとらえ、大人が平均的な育ちのイメージで決定するカリキュラムではなく、子どもと大人の共同作業で日々作り上げていくカリキュラムという考え方に立っています。子どもたち一人ひとりが人間として育つような保育的関係を大人たちが協働してつくり上げていき、卒業後も人格の完成を目指して子ども自らが成長し続けるようその基礎固めに力を注いでいる学園です。

プレゼンテーションC ③11:00~11:30 実践報告「地域文化と環境保全と社会的包摂をつなぐアートプロジェクト:「マン川・ビジュアルポエトリー・キャンプ」の取り組み

RIEWPAIBOON Siree(九州大学芸術工学府芸術工学専攻(博士課程))

【キーワード】地域密着型アートプロジェクト、アート介入、環境意識、社会包括、高齢化社会

【発表要旨】「マン川・ビジュアルポエトリー・キャンプ」は、タイのルーイ県ダンサイ市でプラユーン・フォ・アート(Prayoon For Art)によって開催された地域密着型のアートプロジェクトである。プラユーン・フォ・アートは、現代アートを広く楽しめるようにし、芸術的プロセスを通じて地域の持続可能な社会的発展を促進する団体である。2020年からダンサイ市でアートプロジェクトを実施し、2021年と2023年には現代芸術祭を開催、2023年からはダンサイ・クリエイティブ・ラーニング・センターと滞在型スペースを運営している。 「マン川・ビジュアルポエトリー・キャンプ」のアイデアは、過去3年間の地域との共同作業や調査から生まれ、地域の関係者が抱える環境問題に取り組むことを目的としている。地域の文化遺産と芸術的介入を融合させ、環境の変化に脅かされているマン川との繋がりを再強化することが目指されている。プラユーン・フォ・アートのチームは、アートマネージャーとマルチメディアアーティストで構成され、8つの村の65歳以上の16人の長老にインタビューを行い、失われたボートレースの伝統を探求した。そして、地域の若者がこの伝統を再発見し、ビジュアルストーリーテリングを通じて自らの印象を表現するための2日半のアートワークショップを共同で設計・実施した。 このワークショップは2023年11月に開催され、初日は「メディアアートとは?」というイントロダクションから始まった。主要な講師であるアーティストのセッタシリ・チャンジャラドポンが主導し、参加者が現代アートを活用して自分の表現を創造的かつ気軽に行えるよう、カジュアルな会話形式でさまざまなメディアアートの例が示された。この演習では、参加者が「アートは高尚なもので、その価値は美しさに依存する」という誤解を克服する手助けが行われた。 2日目の主な目的は、参加者がボートレースの歴史や環境を探求し、後のクリエイティブな表現へのインプットを得ることである。参加者には感覚を活性化し好奇心を引き出すためのガイダンスとツールが提供された。その後、彼らはボートレースが行われた川沿いの地域を歩き、昔の伝統に参加していた高齢者に紹介された。また、ボート作りの過程で村の中心的な役割を果たしていた森や寺院も訪れた。 3日目は、参加者が主要な講師やアーティストの指導のもと、自分のアートワークのスケッチやプロトタイプを作成することに焦点が当てられた。プロセスは小さなプレゼンテーションとフィードバックセッションで締めくくられ、グループは各自のアートワークの制作を続けることを決定した。完成した作品は2023年12月にダンサイ・クリエイティブ・ラーニング・センターで展示された。 このプロジェクトの成果としては、無形文化遺産の継承と保存における創造的プロセスの発見、マン川の物理的な環境変化の原因を地域が調査し、再生の方法を探る機会の提供、そして多世代の交流が促進され、特に高齢者に恩恵をもたらしながら社会的包摂が推進された点が挙げられるのである。

プレゼンテーションC ④11:30~12:00 研究発表「ロールプレイと描画を用いた「介護福祉士版体験的コミュニケーション理解プログラム」の試行と検討 ―高校福祉科2年生を対象にしたグループインタビューの分析から―」

佐野真紀(愛知教育大学)

【キーワード】描画、コミュニケーション、介護福祉士、高校福祉科、グループインタビュー

【発表要旨】本研究は、「介護福祉士版体験的コミュニケーション理解プログラム」を構築する研究の一環として、高校福祉科の生徒を対象にプログラムを試行し、高校生にとってこのプログラムがどのような体験をもたらしているかを探索することを目的としている。  高校福祉科においては志願者・入学者の減少に加え、学校生活において生徒間の人間関係に課題を持ち、指導に配慮を要する生徒が増加しつつある。従来の介護福祉士養成課程においては、コミュニケーション技術を知識として伝達することを進めてきたが、共感や受容といったコミュニケーションの概念やスキルを行動に落とし込むための仕掛けを必要としていると考える。本プログラムは、ウォーミングアップ(体操)、講義、ロールプレイ、描画によるワーク、ディスカッションで構成されており、自分で感じたことを言葉と絵で表現することを通して、快く自分を表現することと快く相手を受け入れることの循環するコミュニケーション(佐野2013)を体験することを目指している。  研究の対象者は介護福祉士養成を行う高校福祉科の生徒とし、入学から18か月後の2023年10月に50分授業を2時間連続で行った。授業前と授業後にSTAIを用いて不安状態を確かめたほか、事後アンケートでプログラムの経験について尋ね、自由記述の回答を質的統合法によって分析した。さらに参加者の中から6名を抽出して、同日フォーカスグループインタビューを行い、SCAT(大谷2019)により分析を行った。アンケート調査並びにインタビュー調査は、愛知教育大学の研究倫理規定をふまえた倫理的配慮のもとに実施した。この発表では、フォーカスグループインタビューの分析を中心に報告する。  フォーカスグループインタビューから、次のことを指摘できた。プログラムの体験は、コミュニケーションの楽しさ、描画の自由な表現の楽しさ、自分からの発信の効果、自他の感じ方の違いや表現の違いの面白さについて語られた。違うということについて、差異の発見に驚きと嬉しさを感じ、違うもの同士から新しいものが生まれる体験、コラボレーションの発見、いろいろな絵と組み合わせる楽しさとして捉えられた。普段は同質性の高い集団の中にいるため、これらは初めての体験と語られた。違っていることを認識したうえで受け入れる/受け入れられる体験としては、部活での意見の衝突や兄弟げんかが想起され、受け入れられない体験が多く想起された。共感概念や既習内容と体験の関連づけは、示唆を与えると結び付けられる程度であった。以上のことからプログラムの体験は、表現の楽しさや自他の感じ方や視点の違いを肯定し、異なるものが組み合わさることで新たなものが生まれる体験を提供している。その中で、相手の想いを受け入れる共感の体験、違いを受け入れる受容や多様性容認の体験などを提供していることが示唆された。(本研究はJSPS科学研究費JP21K02546の助成を受けたものです)

プレゼンテーションD ①10:00~10:30 実践報告「滋賀大学教育学部附属音楽教育支援センター「おとさぽ」における音楽療法の立ち上げに関する実践報告ー障害児者の支援事業の普及・定着を巡って」

山本知香(滋賀大学教育学部附属音楽教育支援センター)

【キーワード】音楽療法 立ち上げ 障害児者 支援

【発表要旨】滋賀大学教育学部附属音楽教育支援センター(愛称:おとさぽ)は、障害児者が生涯にわたって音楽を楽しむことができるよう支援することを目的として、2020年10月に設立された。特別支援学校等に音楽を届けるアウトリーチ活動、障害児者を対象としたピアノレッスン・音楽療法等のインリーチ活動、教員やピアノ講師・音楽療法士等を対象とした指導者研修会、パイロットプログラムの4つの柱で事業を展開している。発表者は、音楽療法を専門とするセンター専任教員として運営に携わり、2022年度の大会において、おとさぽの事業の全体像について実践報告を行った。今回は、インリーチ活動に位置付けられる音楽療法に焦点を当てた実践報告を行う。  音楽療法はいまだ発展中の分野であり、方法や目的が多種多様である。そのため、参加者ご本人・ご家族のニーズと、実践者側の方針が噛み合うことがまず何よりも大切になる。特に、おとさぽで実践されている音楽療法は、心の安定や心の育ちという目には見えにくいところを重視し、プログラムを立てず即興的に内容を組み立てていくという特徴を持つ。つまり、前もって療法のゴールを示し辛い上に、「何をするか」が具体的には定まっておらず、客観的な指標によって効果を表すことも難しいのである。おそらくこれらの困難は、音楽療法に限らず、広くアートに関わる障害児者の支援事業を立ち上げる際によく立ちはだかる壁なのではないだろうか。そこで、今回の発表では、おとさぽにおける音楽療法の立ち上げと定着までのおよそ3年に渡るプロセスについて具体的に紹介することで、障害児者の支援事業が普及・定着するためのひとつのあり方を可視化し、今後の可能性について模索していきたい。  具体的には、以下の6項目についてそれぞれ報告する。①どのような音楽療法をどのような形で実施するか、という大枠の決定 ②実践場所(セッションルーム)の整備、楽器の選定と確保などハード面の準備 ③月謝制度の確立や入会規約の制定などに関する大学側との調整 ④問い合わせから体験、入会までの流れの確立と、それに関わる窓口業務 ⑤チラシの送付やホームページ上での告知などの広報活動 ⑥枠の拡充と音楽療法士の確保  最後に、これからの発展可能性として、音楽療法の紹介拠点や音楽療法士の養成拠点としての新たな役割を担うことや、大学附属のセンターであることを活かし、実践者/参加者という枠を超えた広い視点から実践知を発信することなどが考えられる。今後の課題として取り組んでいきたい。

プレゼンテーションD ②10:30~11:00 研究発表「描画とオノマトペを用いた対話ワークショップにおける「言葉にできない『しんどさ』」の翻訳的ケア」

南 摩周(任意団体yoriai.)

【キーワード】しんどさ、オノマトペ、対話、翻訳、翻訳不可能性

【発表要旨】実体の曖昧な心身の不調である「しんどさ」は、主観的にも客観的にも捉え難く、言語化が難しい。本発表では、アートワークショップの実践を通して、いかに「しんどさ」が表現され、他者に伝えられるか「翻訳」概念を用いて解釈し、そのケア性を探索していく。  「翻訳」とは、あるメッセージ(意味)を伝えるために、あるコードを別のコードに置き換えることである。翻訳につきものなのが、「翻訳不可能性」の問題である。別のコードに置き換える過程で、完璧にメッセージを伝えることはできず、翻訳不可能な部分が出てきてしまう。  「しんどさ」には2種類の「翻訳不可能性」があると考えられる。「自己内の翻訳不可能性」と「他者間の翻訳不可能性」である。今回は「自己内の翻訳不可能性」に注目する。「自己内の翻訳不可能性」とは、自分で「しんどさ」のメッセージが分からない状態を指す。たとえば、心がモヤモヤするけれども、なぜかは分からないといった状態である。  筆者は、「翻訳不可能性」を抱える「しんどさ」に対するケアの一つとして、ワークショップ「きもち翻訳」(以下WS)を企画・実践した。WSは、表現パート・対話パートに大別される。表現パートでは、描画・オノマトペで「しんどさ」を表現し、対話パートでは、描画・オノマトペにどのような「しんどさ」が宿っているか対話を通して読み解いていく。 WSでは、「自己内の翻訳不可能性」へアプローチするために、「仕掛け」と「関わり」が工夫されている。「仕掛け」とは、描画・オノマトペなど、「しんどさ」の表現方法のことである。他方、「関わり」とは、「しんどさ」を翻訳する過程で、筆者がファシリテーターとしてWS参加者に伴走する際の特徴的な関わり方である。調査においては、「仕掛け」を分析するために参与観察を行い、「関わり」を明らかにするために対話の音声データを会話分析した。倫理的配慮として、事前に参加者に許諾を取り、同意書に署名を求めた。また、WSはあくまでも表現活動の一環である立場を取り、アセスメントや介入は行っていない。 参加者は表現の過程で<描画⇒オノマトペ⇒説明テクスト>という非言語から言語のグラデーションを持たせた「仕掛け」を経ることで、自己内で翻訳不可能だった「しんどさ」を少しずつ翻訳していき、その過程で「落ち着いた感じ」や「受けとめてもらえた感じ」を得られたと発言していた。また、前述の「関わり」に対する会話分析の結果、筆者の問いかけを受けて、参加者が表現(コード)を見つけていく<表現探し連鎖>という特徴的な「関わり」が見られた。 WSでは、翻訳を経て、これまで言語化できず自己からも他者からも不可視化されてきた「しんどさ」が可視化され、外在化されることで、参加者にある種の癒しの感覚がもたらされていた。さらに、参加者と筆者の間には、表現を介して「しんどさ」を共に眼差す、ゆるやかな関係が紡がれていた。

プレゼンテーションD ③11:00~11:30 研究発表「ラップミュージックを用いた省察と自己表現による抑圧からの解放」

苧野亮介(一橋大学社会学研究科博士後期課程)

【キーワード】トラウマ

【発表要旨】本発表ではトラウマをはじめ、さまざまな苦難を経験した人々が自身の心情を表現し、他者と繋がっていくための一つの手段としてラップミュージックの可能性についての考察を示す。 公⺠権運動後の荒廃したニューヨーク州サウスブロンクスにあるアパートの一室から生まれたヒップホップは、90 年代にはメインストリーム入りを果たした。その後も絶え間なく進化し続け、アメリカにおいては R&Bとの合算とはいえ、2017年にそれまで不動の一位であったロックの売り上げを上回るまで急成⻑を遂げた。周縁化された人々によって生み出されたヒップホップは DJ、MC、ブレイキング(ダンス)、グラフィティ(ストリートアート)の四大要素あるとされ、それぞれの要素は今や世界中に広がり、各地域で発展を続けながら多くの賞賛と批判を集めている。「MC」に該当するラップミュージックに関しては、ラッパーたちは自身の人生における喜びや悲しみ、怒りや欲望などを包み隠さず歌ってきた。自身の生まれ育った街を誇ったものや、愛について、あるいはギャングの日常や警察や政治家といった公権力への批判など、その内容は多岐にわたる。ラッパーのスタイルやラップミュージックのサブジャンルも時代を追うごとに多様になり、最も自由な音楽ジャンルの一つといえるかもしれない。 そんなヒップホップは、90 年代中頃から、単なる娯楽に留まらず、セラピーの現場で用いられ始めた。プロのラッパーとして活動する人々でなくとも、ラップというものが自身の人生や経験を語る上で有効だとみなされ始めたのである。アメリカなど、ヒップホップ 文化が強く根付いている地域を中心に取り組まれてきた実践であるが、日本においてもヒップホップを用いて自己表現をしてみようという取り組みが 10 年以上前から行われている。そこは、何かしらの理由により〈沈黙〉させられていた人々が、ラップミュージックを通して生き生きと自身のストーリーを語る場であった。本発表では、そうした取り組みに着目し、まずはヒップホップがセラピーの現場で用いられている事例について、文献研究で得た情報をまとめる。その後、日本におけるラップミュージックを用いた省察と自己表現の可能性について、発表者自身が行った「ラップワークショップ」での参与観察と、主催者と参加者へのインタビューによる質的調査で得たデータをもとにトラウマ研究で重視されてきた回復の理論などに依拠しながら検討する。そして最後に、アートとしてのヒップホップがケアの現場でさらなる可能性を広げていくために、ヒップホップ文化における加傷性についての検討も行う。ヒップホップは長らく男性中心主義的であり、女性蔑視や同性愛嫌悪な側面があるとして批判がなされてきた。そんなヒップホップがケアの現場で特定の人々を排除しないためにもヒップホップの多様な面を捉えていく必要がある。 本発表は発表者が2024年1月に一橋大学社会学研究科に提出した修士論文の内容を改訂したものをもとに行う。

プレゼンテーションD ④11:30~12:00 研究発表「エル・システマジャパン相馬の活動におけるフェローの役割」

石井杏奈(九州大学大学院修士2年)

【キーワード】子ども、音楽教育、オーケストラ

【発表要旨】福島県相馬市で行われている、一般社団法人エル・システマジャパン(以下ESJ)による活動、「相馬子どもオーケストラ」では、「フェロー」と呼ばれるボランティアによる活動のサポートが行われている。相馬子どもオーケストラは、東日本大震災の被災地域にいる子どもたちの心のケアを目的として始まった音楽教育プログラムである。東日本大震災の発生から13年、プログラムの開始から12年が経ち、次第にプログラム開始時に意図された「ケア」の文脈から離れつつある。 相馬子どもオーケストラとは、福島県相馬市内に在住、もしくは通学している小学1年生から高校3年生が対象のオーケストラである。相馬子どもオーケストラの、プログラムとしての効果の測定のために、プログラム開始時から2017年まで継続して外部評価が行われてきた。しかしながら、外部評価だけでは、活動の内部で実際にどのようなことが行われているのか、ステークホルダーがどのように活動に参画しているのかについては語られていない。 そこで本研究では、子どものための無償音楽教育プログラムである相馬子どもオーケストラを研究対象とし、指導者とは別にボランティアとして参画する大人である、「フェロー」の役割について明らかにすることを目的とする。「フェロー」の行動や他のステークホルダーとの関わりに着目し、彼らの言動がプログラム全体のケアとどのような連関があるかを明らかにする。 本研究では、まず活動内容の把握のために参与観察を行った。次に、観察だけでは把握することの出来ない、行動に至った背景や考えの聞き取りのためにインタビュー調査を行った。他団体の活動を観察することで、フェローの役割について、相馬における価値を検討した。これから、インタビューの結果を分析したのち、分析結果から生まれた問いをもとに、参与観察時の録画データを分析していく予定である。 発表者はアマチュアの指導ボランティアである「フェロー」の一人として、2023年9月から2024年3月にかけて2ヶ月に1回のペースで、計8日間活動に参加し、活動の様子を記録した。 相馬子どもオーケストラに関わる、フェローを含めた様々な属性の大人16人を対象にインタビューを実施した。さらに、インタビューを進める過程で、インタビュイーの多くが極めてマージナルな属性を持っていた。本人の属性(関わり方)の変化についても聞き取りを行うために、一部のインタビュイーに対して「音楽年表」を記述してもらい、彼ら自身にストーリーを語ってもらいながらインタビューを進めた。インタビューの中で、インタビュイー自身が受けてきた他の音楽教育や音楽体験についても聞き取りを行うことで、フェローとしての行動の経年的な変化やその要因を探った。フェローは指導者と子どもをつなぐ橋渡しの役割を担い、フラットな関係の構築に貢献しているという気づきを得た。

2024年度大会 発表要旨(ポスター発表)

発表要旨(ポスター発表)

16:15-17:15 (多次元デザイン実験棟)
※複数の発表が同時並行で進行します。

ポスター①実践報告「 ART/3Cアトリプシー わたしたちでつくる、ケアとアートのしくみ ー遊びごころのある自己表現を用いた、コミュニケーションデザインの実践的考察ー」

榎原理絵(井村理絵)(さつきデザイン事務所)

【キーワード】がん患者 ケア アート コミュニケーションデザイン つながり

【発表要旨】本報告は、がんを患う当事者として筆者が闘病者とその家族・友人のQOL向上のためにケアとアートのしくみ(愛称:ART+3C/アトリプシー)を構築している中で、アートを用いた自己表現と社会とつながるためのコミュニケーションデザインについて考察したものである。 人生100年時代といわれる超高齢化社会において、日本のがん患者は、2023年の統計によると約100万人を超えて存在する。一方で、医療の進歩により生存率は向上し、がん患者は長く続く治療や治療後の生活の中で、病気や過酷な治療によって髪の毛が抜けるなどの容姿の変化に対して悩んだり、思うように仕事ができず解雇されたり、仕事を失うことへの不安に直面する。今回は、筆者と同じ乳がん罹患者とご家族、そして、AYA世代、小児がんと闘う子どもたちと親とともに活動した内容について報告する。 まずは、困難な状況において、自己に生じた苦痛をありのまま受け入れ、その苦痛を緩和できるよう自己肯定感の回復サポートを行うために芸術を手段とし、アルコールインクアートのワークショップを検討し実施した。このワークショップを通じて、自己表現するきっかけを試みた内容と参加者の気持ちの変化について結果を報告する。次に、個人の境界線を越えて筆者との関わり合い、互いに影響し合うことを目的として、作品が選ばれた参加者に対して、その絵に込めた思いをタイトルと文章で表してもらい、その作品を筆者が編集してスカーフの柄に落とし込み視覚化した。さらに、インクジェットプリンターを用いて印刷し、縫製を行い110㎝×110㎝のシルクやコットンのスカーフに仕上げた。参加者が好奇心を持ってこの活動に取り組めるように、自分自身の力や考えを信じて、前向きに可能性を追求して楽観性を持てるように、その仕上がったスカーフを参加者に纏ってもらい、本格的な撮影を実施した実践内容について述べる。 このプロセスを経て、筆者と参加者が、ありのままの自分を認められるようになったか、自己肯定感の回復につながっているか、闘病者であっても良く生きること(well-being)が目指せているか、つまり、ケアにつながっているかどうかをヒアリング調査を元に分析する。また、人や社会とのつながりができたかについては、結果が得られるまで時間を要するため、まずは社会で暮らす闘病者ではない人達に対して、わたしたちのことを知るきっかけや気づきを与えられるようなコミュニケーションデザインの手法について触れたい。 当活動の目的は、わたしたちと呼べる関係性を社会に増やすことで相互ケアを生み出し、関わる人々のQOLを向上させることである。したがって、その目的に到達できるしくみになりうるかどうか研究を交えながら実践し、社会的意義のある活動になるよう事業目線も踏まえながら評価し、今後の課題と可能性について考察する。

ポスター②実践報告「こども食堂の認知と充足率の向上を目標とした デザインとワークショップの実践報告 2023・2024」

広根礼子(金沢学院大学)

【キーワード】こども食堂 デザイン ワークショップ

【発表要旨】こども食堂の認知と充足率の向上を目標とした デザインとワークショップの実践報告 2023・2024 金沢学院大学ヒロネゼミ 連携:おおくわこども食堂・かなざわっ子nikoniko倶楽部   <活動の背景> あなたの地域に子ども食堂はありますか? こどもの居場所や地域の交流の場として、こども食堂は近年ますます重要性が高まっている。 こどもがこども食堂に1人で歩いて行ける距離を考慮すると、小学校区に1か所、こども食堂が存在していることが理想である。2023年度こども食堂全国調査において、石川県のこども食堂数は88か所であった。県内の小学校203校のうち、校区内にこども食堂があるのは67か所(前年40か所)、充足率は33%(前年20%)となった。2023年度から調査方法が変わり、不定期開催のこども食堂も数えられたために急増したようにみえるが、定期的に開催しているこども食堂が増加したわけではない。
2023年度に引き続き「出張こども食堂」の開催、新規設立および活動継続の後押しをすることで、充足率の向上につなげたい。  <活動内容> 2023年度は以下の活動を行った。 ・こども食堂の認知向上につながるポスターやリーフレットの企画・制作 ・出張こども食堂開催時に使用するバナーや活動ユニフォーム等、PRグッズの制作 ・出張こども食堂に同行し、アートワークショップの開催 2024年度は、 能登半島地震により、被災地のこども食堂は開催が困難な状態となり、県内のこども食堂の状況は大きく変化している。そこで、このような困難な状況と不安を抱えた生活を余儀なくされている被災者および2次避難者を対象に、こども食堂が精神的な拠り所となる事を願って支援活動を行う。 元々、能登地域にはこども食堂が少ない(珠洲市はゼロ)。そこで、被災者および2次避難者に対して、一緒に集うあたたかい居場所として「出張こども食堂」を開催し、自分の地域にも、このような場があったらいいなと感じてもらいたい。数年後の復興を見据えて、能登地域のこども食堂再建と新規立ち上げに繋げる活動に対して、引き続きゼミの特性をいかして貢献したい。 本活動は、大学コンソーシアム石川 地域課題研究ゼミナール支援事業に採択され行っています。

ポスター③ドイツ生まれの滞在型市民農園「クラインガルテン」及び「オープンガーデン」からの実践報告―健康寿命維持への提案「庭育」と「田舎暮らし」

西野昌克(関西医科大学看護学部)

【キーワード】クラインガルテン オープンガーデン イングリッシュガーデン 田舎暮らし

【発表要旨】2022年新型コロナ渦のなかで大学教員を退職し、これまで都市生活を送ってきた私は、心の故郷を求め兵庫県朝来市の滞在型市民農園「クラインガルテン伊由の郷」に入居し、以降大阪の自宅との2拠点生活を送るようになる。 兵庫県朝来市は雲海で有名な竹田城跡や生野銀山跡が観光資源であり、2005年には朝来町、和田山町、山東町、生野町が統合されている。1999年には広大な公園に野外彫刻を設置した「あさご芸術の森美術館」がオープンする。 クラインガルテン(Kleingarten)の入居者の多くは都市生活者であり、週末には畑で作物を有機栽培することを楽しんでいるが、当初私は有機栽培に興味を持てず、以前よりガーデニングを趣味にしていたこともあり、雑誌によく紹介されている「イングリッシュガーデン」を目指し、バラや宿根草を定植し植物と深く対峙するようになる。 生物学者、植物学者でもない私が植物と共生するのは空間デザイン或いはランドスケープデザインとしてのフィールドワークであり、いささか個人的な老後の過ごし方への提案でもあるが、実践を通して気づいたガーデニングの効能をまとめてみたいと思う。 植物を育てるなかで植物の持つ感性や不思議な体験を通してヒトの営みと健康、共生について考えるようになった。 ドイツ語で「小さな庭」を意味するクラインガルテンは、日本でも2000年頃から地方自治体によって整備され、家庭菜園やガーデニングする目的で都市生活者を中心に全国に広がる。 また自宅の庭を公開する市のイベント「あさごオープンガーデン」に参加し、多くの市民や庭仲間との交流から見えてくる自然豊かな地方の発展と課題をまとめて発表したいと考える。 現在勤務する関西医科大学の総合医療センターには、「ホスピタルガーデン」が整備され、入院患者(リハビリテーション)やご家族の散歩に利用されている。 医療との直接的な関わりはないものの、庭や植物とヒトとの関係性に多くの学びがある。

ポスター④研究発表「ホスピタリティアート・プロジェクト 2009−2024」

三浦賢治(金沢美術工芸大学)

【キーワード】HAP

【発表要旨】金沢市立病院と金沢美術工芸大学が連携するホスピタリティアート・プロジェクト(HAP)は、医療分野におけるアートの潜在的な可能性について調査研究し、実践していく取組みとして、2009年に発足以来現在まで15年にわたり継続しているプロジェクトである。 本プロジェクトは、「ホスピタル(hospital)」の原義である「ホスピタリティ(hospitality)→もてなし」の精神を互いの共通理念としている。ホスピタリティを「ケア」と読み替え、病気からの快復と日々の健康を願う市民に対し、創意と表現そしてコミュニケーションとしての「アート」を活かし、医療と芸術をつなぐ領域からの新しい医療活動及び芸術活動を発信することを目指してきた。 プロジェクト開始当初(2009年)は、金沢市立病院と金沢美術工芸大学との会議を重ねながら活動の方向性を探る中で、金沢美術工芸大学の美術・デザイン・工芸それぞれの分野の特質を生かした企画を提案し、それを金沢市立病院が受け入れる形で作品展示やワークショップが実施された。  本プロジェクトは一つの自治体の括りの中に行政、医療機関、芸術系大学がバランスよく協働する関係が成立しており、その構造において、アートプロジェクトのあり方として全国的にみても幸せな環境にあったといえるかもしれない。そしてその状況、関係性は、本プロジェクトが15年間安定的に継続する上での土台となっていたと思われる。 これまでの活動を重ねていく中で、近年金沢市立病院は「地域がつくる安らぎの医療」を唱え、病院近くの施設に「まちなかサロン」を設け、地域住民に向けた健康増進のための市民講座を定期的に実施している。一方、金沢美術工芸大学では大学としての社会貢献の実績のほか、プロジェクトに参加した学生が創造についての新たな視点を見出す機会を与えてきたと考えられる。しかしながら教育に還元する具体的な形(例えば新しい芸術分野の創出に向けたプロジェクトの単位化など)には至っていない。金沢美術工芸大学以外にも医療とアートの協働に取り組む芸術系大学の活動は見られる中で、これまでに蓄積する記録を学術的視点で取りまとめ、本学におけるプロジェクトの社会的意義と今後の展望についての指針を示す必要があると考える。本発表では、プロジェクトコーディネーターを務める発表者の視点からプロジェクトの立ち上げから現在に至るまでを総括し、ケアとアートの関係を示す一例として紹介することで、ホスピタルアートにおける本プロジェクトの立ち位置を問う機会としたい。

ポスター⑤実践報告「じゃがじゃがプロジェクト:メンタルヘルスケアに携わる人のサポートグループ」

大野美子(大阪大学大学院人間科学研究科)、北畑雄大(紀南こころの医療センター)

【キーワード】メンタルヘルス、ケアする人のケア、コ・プロダクション、専門職、対話

【発表要旨】日本の精神障害者支援においては、入院医療中心から地域生活支援へと政策転換したが、未だ世界で抜きんでて病床数が多く入院医療中心のケアが続く状況である。また、地域で暮らす精神障害者のケアは家族による私的ケアに大きく依存してきた。さらに、精神障害者支援に携わる対人援助職もまた、共感疲労からバーンアウトに陥りやすい。持続可能なケアシステムを構築するためには、「ケアする/される」の二項対立を超えて、ユーザー・家族・専門職の三者協働によるコ・プロダクション(共同創造)を志す必要がある。  じゃがじゃがプロジェクトは、精神保健に関わるユーザー・家族・専門職が集い、対等な立場でケアしあう場として、2020年に誕生した。誰もがひとりぼっちにならないように。「つらいよ」「さびしいよ」「たすけて」と言えるように。専門職もまた、傷つき、悲しみ、悩みを経験することを恥ずかしいと考えず、仲間と分かち合えるように。孤独や挫折や喪失、メンタル不調の経験を、他者の傷みを想像し、手を差し伸べ合う力の源と捉える。  じゃがじゃがプロジェクトを始めた背景には、大切な仲間の死があった。精神科医の彼は、患者に粘り強く寄り添う臨床を行っていた。ところが、自身がメンタル不調を経験したとき、精神医療専門職であるがゆえにかえってサポートを受けづらく、孤独に療養せざるを得なかった。彼の死を受けて、私たちは、医療福祉専門職もまた傷つきやすい生身の人間であるのに、崇高な倫理的存在であることを求められがちであることに気づいた。彼の死後、彼が療養中にノートに綴っていた「じゃがじゃがプロジェクト」の構想を実現すべく、プロジェクトに賛同する仲間が集って取り組みを重ねてきた。  専門職を取り巻く文化や専門職倫理は、「自立した個人」を理想とする西洋近代男性主義的な自律観に基づいており、専門職(とりわけ医師)は、自身の弱さを露にしたり、他者に助けを求めたりすることを否定的に捉えたり、苦手とする傾向が強い。感情に左右されない落ち着きや、疲れや傷つきをコントロールして常に一定のパフォーマンスを発揮できるよう求められ、己を犠牲にしてまでの献身や優れた人格を期待されがちである。そのような状況の中、専門職は自分の感情を押し殺し、無頓着であることに慣れてしまう。  近年、「ケアする人のケア」や専門職の「セルフケア」の必要性が認知されるようになった。しかしながら、「セルフケア」が「自己管理能力」として理解されれば、専門職にさらなる負担を負わせる事態となりかねない。じゃがじゃがプロジェクトは、ユーザー・家族・専門職の複数の立場性を持つメンバーが、ともに学び、対話し、余暇を過ごしている。各自が自分を主語にして、自分の感情に意識を払い、素直な言葉を交換できる場となっている。そうして開示された自己を互いに承認しあう関係性の中で、互いにケアしあう場が実現していると言えよう。

ポスター⑥研究発表「日本の演劇におけるインクルージョンの現在地 ー聴覚障害者と聴者の協働に関する文献検討ー」

永杉理惠(東洋大学)、若林陽子(岩手県立大学社会福祉学部)、清重めい(東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター )、久保田めぐみ(東京大学大学院教育学研究科修士課程)

【キーワード】インクルージョン、演劇、ろう者、手話、協働

【発表要旨】近年日本では、障害のある人による芸術活動が社会的に推進されるほどに発展している。他方、障害があるという属性を強調するかたちで作品の芸術的価値が見出されるとき、障害のある人の社会的疎外がかえって再⽣産される危険性があると、芸術学やアートマネジメントの観点から指摘されている。そこで本研究では、障害のある人もない人も共に参加する芸術活動を現状よりもさらに積極的に導入することを提案することを目指す。具体的には、障害のある人とない人が同じ空間で共にひとつの活動に携わるという意味でのインクルージョンの教育学的価値を強調する立場から、日本で聴覚障害者と聴者が共に創造し、鑑賞する演劇がどのように展開しているかについて文献から検討した。 まず、手話演劇の成立と展開の先に1990年代から今日までの展開を4つの時期区分:⑴第一次隆盛期:手話演劇の確立、⑵戦後期:手話演劇の深化、⑶第二次隆盛期(1970年代~1990年代半ば):表現の多様化、⑷聴覚障害者と聴者の協働の模索期(1990年代半ば~現在):協働による舞台表現・演者としての当事者、に分けて整理した。そこからは、手話演劇によってろう者独自の言語・文化による舞台表現が確立し深化する時代から、表現の多様性が生まれる時代を経て、ろう者と聴者が協働する表現の時代へと向かう流れが確認できる。また、一言にろう者と聴者の協働による演劇と言っても、手話を使うろう者の台詞を聴者が代読するものや、手話と発話でかけ合いをするもの、舞台手話通訳者が役者として登場するものなど、その協働の方法は多様であり、現在が舞台表現におけるインクルージョンのあり方が積極的に模索されているフェーズであることが確認できた。 また、舞台上だけでなく、鑑賞する立場・舞台裏への着目もなされている。鑑賞に関しては、聞こえない観客のために手話通訳や字幕を整えるだけでなく、情報保障という性質、すなわち合理的配慮という枠を超えて、情報保障のための手話を演劇表現のひとつと捉える試みも近年なされている。さらに、公演中の情報保障だけでなく、裏方すなわち稽古や制作途中におけるコミュニケーションの問題も指摘されている。 以上のことから、演劇における聴覚障害者と聴者の協働は、バリアを除去するというよりも新たな舞台表現を生成させ、聴覚障害者と聴者の共生社会を促している現状が明らかになった。今後は、inclusive theatre等その他の語をキーワードとする外国における状況も合わせて検討し、本研究におけるインクルージョンの意味を国際的文脈に位置づけ直す他、教育学的なインクルージョンの概念の意義と特徴を検討することも進めていきたい。

ポスター⑦研究発表「無鄰菴における日本庭園の意義発見のための作庭意図が鑑賞者に及ぼす影響の調査~日本庭園を通したケアの可能性の探索に向けて~」

城戸浩菜(九州大学未来創成科学者育成プロジェクト、大分県立大分上野丘高等学校)、長津結一郎(九州大学大学院芸術工学研究所)

【キーワード】日本庭園 作庭意図 空間意義 テキストマイニング 園芸療法

【発表要旨】背景  日本では、需要の低下や後継者の不足により伝統文化が衰退しつつある。しかし忙しい現代社会において、伝統文化が人々に癒しをもたらし、幸福感や豊かな感性の創出につながるともいわれている。本研究では、人々の日常生活と深く結びついた伝統文化の一つである「日本庭園」に焦点を当てた。政府統計によると、造園工事業の就業者数は2004年から2017年の13年間で約6割減少している。私は日本庭園が好きなので、この状況に危機感を覚え、日本庭園の継承につながる研究への関心を持った。また作庭意図を知ることにより、それまでと異なる視点でより深く鑑賞できた経験があり、本研究ではこの経験をもとに調査を行った。  先行研究  日本庭園の鑑賞によって心拍数が減少し、デザインの全体への分散とそれによって誘発される幅広い眼球運動がストレス減少効果の重要な要素となること。後期高齢者が対照地に比べて日本庭園の鑑賞時に、眼球運動や自律神経系が活性化することなどがわかっている。これらは日本庭園が人々の癒しになるということを裏付ける結果と言える。また、日本庭園の口コミの言語解析から日本人と外国人の感じ方の違いを考察した研究もある。  目的  これまでは日本庭園の受け手側のみを対象とした研究が多かったが、庭の作り手と受け手の双方にアプローチすることが重要であると考えた。本研究の目的は、鑑賞者がどの程度作庭者の意図を理解しているか、またそれによって受け取り方に違いは出るかを調査し、作庭意図が鑑賞者の体験にどのような影響を与えているかを明らかにすることである。  調査方法  まず京都を訪れ、事前ヒアリングとして現地の研究者や庭を管理維持している方々の見解や意図を収集した。その後、調査対象である無鄰菴のGoogleの口コミ約730件をテキストマイニング手法で分析し、庭園鑑賞者の受け取り方やその評価について考察した。   調査結果  事前ヒアリングでは、無鄰菴の作庭意図や、日本庭園の価値・効果を聞くことができた。 テキストマイニングでは、口コミの5段階評価との対応分析を行った。1や2といった低評価では、庭園そのものではなくスタッフの対応や料金などの外部要因が多く言及されていた。3以上の評価からは庭自体への言及が増え、4や5といった高評価においては、作庭意図や庭の歴史性に触れた記述が増えている傾向にあった。   展望  今後は、無鄰菴の関係者に再度お話を伺って質的社会調査法を用いた分析を行う。また、今回用いたテキストマイニング手法を異なる条件や分析方法で用いることで、口コミ情報による鑑賞者の評価を詳細に分析する。これらの分析結果を合わせて、鑑賞者の感じ方と作庭意図との関係を詳細に明らかにしていく予定である。  期待される効果  作庭者にとって自らの意図がどのように受け取られているかを知る一助となり、作庭意欲の向上や新たな工夫を促すことが期待される。また、日本庭園を通じたケアの可能性の議論がさらに深まることが予測される。

ポスター⑧研究発表「音楽療法のある医療現場 ―音楽療法士と医療従事者の相互作用に着目して―」

友貞愛里(九州大学未来創成科学者育成プロジェクト 佐賀県立致遠館高等学校)、長津結一郎(九州大学大学院芸術工学研究所)

【キーワード】音楽療法 病院 医療従事者

【発表要旨】研究背景 現在の日本の医療現場では、医療従事者の長時間労働の改善が叫ばれている(江原 2021)。その中、音楽療法に関心を持つ医者の数は多い(日経 2016)。日々の業務が多忙の中で音楽療法を導入している病院の実態を調査することで、音楽療法を医療現場で取り入れることの意義を考えるきっかけを作ることができると考えられる。 先行研究 先行研究を調査する中で、看護師が行う音楽療法や音楽療法に関わった音楽療法士の変化について研究が多く行われていることが明らかになったが、音楽療法を通した音楽療法士と医療従事者の関係性については、多くの研究結果では明らかになってはいなかった。本研究では先行研究では明らかでない、医療従事者を対象として音楽療法士との関係性を研究していくこととする。 目的 日常的に音楽療法が行われているA病院での、音楽療法士と医療従事者の立場の違いによる音楽療法への意識の共通点や相違点、それぞれの音楽療法の実施を通しての意識の変化の様子を明らかにする。 調査活動 この研究では主に、 ①音楽療法にどんな印象を持っているのか。 ②音楽療法が行われることで治療や生活、業務などにどんな影響があるのか。 ③音楽療法士と医療従事者でどのようなことでどのようなときにコミュニケーションをとるのか。 以上の3点において音楽療法士と医療従事者の意識を調査し、A病院の音楽療法の実態を明らかにする。 調査方式は、福岡県にあるA病院の緩和ケア病棟への見学と、そこで勤務している音楽療法士と医療従事者を対象としたアンケート調査である。 これまでの成果 8月7日に予備調査としてA病院緩和ケア病棟へ見学に訪れた。初めに、音楽療法士から特に緩和ケアにおいての音楽療法について詳しく話を聞いた。 次に、2人の患者に向けた音楽療法を見学した。談話室で患者の様子を見つつ、ピアノと歌の演奏が行われた。途中でトラブルが発生したときは、看護師が駆け寄ってきて対処している様子が見られ、看護師と音楽療法士の会話が生まれていた。普段は音楽療法が行われている間は、看護師が干渉する様子は見られなかった。 最後に、一対一の音楽療法では、キーボードを持って患者の病室に訪問して演奏を行っていた。音楽療法士と一対一であり看護師はその場にほとんどいないため、音楽療法士が患者の様子をより一層注視していた。 展望 今後は、アンケートの結果をもとにSCAT分析を行い、先行研究などと比較しながら研究を進めていく予定である。今回見学に行ったときは、医療従事者の中では看護師の様子しかわからなかったので、医療従事者の中で看護師以外の職種の人にもアンケート調査を行うことで、医療従事者がどう感じているのかを明らかにする。

ポスター⑨研究発表「ろう者の音楽体験の言語化を考える〜“目で見るおんがく”(サイン・ミュージック)の実践を通じて」

萩原昌子(九州大学芸術工学府)

【キーワード】ろう者の音楽 鑑賞サポート 音楽体験 言語化

【発表要旨】ろう者や聴覚障害者を対象とした音楽の鑑賞をめぐり、近年、欧米におけるポップスミュージックのコンサートにおける手話通訳や、ミュージックビデオへの手話通訳参加、字幕付与などの鑑賞サポートが話題になっている。また、日本フィルハーモニー交響楽団と落合陽一氏の「耳で聴かない音楽会」など、クラシック音楽の分野においても、聴覚障害のあるなしに関わらず楽しめるとされるコンサートが開催されている。  鑑賞サポートは合理的配慮として提供される手段の一つであり、提供する側と当事者側双方の建設的対話をもとによりよいサポートが構築されていく必要がある。これまで、ろう者や聴覚障害者に対する音楽の鑑賞サポートについては、歌詞の可視化のほか、音で構築される音楽を伝えるものとして音の増幅や振動への変換等の提供が行われてきた。 しかし、聴覚のみでは音を受容することが難しいろう者・聴覚障害者側が鑑賞するときに「どのように音楽を受け止めたいか」ということに関して、これまでほとんど言語化されてこなかったのではないか。  一方で、2016年に上映された「LISTEN」という映画は、音のない世界にろう者・聴覚障害者にとっての“音楽”が存在するというひとつの提案を示した。また、アメリカやカナダでは、Jody Cripps氏が提唱する「目で見る音楽」としての「Signed Music(サイン・ミュージック)」という概念のもと、Signed Musician(サイン・ミュージシャン)と呼ばれるろうの音楽家も存在する。 本発表では、このサイン・ミュージックについて、カナダで開催されているDeaf Arts Academyで学ぶ機会を得た発表者の実践をもとに、ろう者・聴覚障害者にとっての“音楽”の概念がどのようなものであるかを考察し、ろう者の音楽の受け止め方の言語化に向けた一助とすることを目的とする。 サイン・ミュージックは手話をベースにして音のない音楽を奏でる手法であり、ろう文化を背景にして成立したものである。先行研究では「音によって構成されるいわゆる聴覚文化としての音楽の形をとらなくとも、“音楽”を感じることができる」という視点から、サイン・ミュージックはリズム、音色、質感、メロディ、ハーモニーという「音楽の5要素」を持ちうるとしており、それぞれの要素についての分析が進められている。このことは、音によって構築される音楽について、ろう者として望む音楽体験を言語化するための語彙の手がかりにつながると考えられる。 本発表では、サイン・ミュージシャンへのインタビュー等から、(1)サイン・ミュージックではなにを音楽として表現しているか(2)どのように音楽を構成しているかを分析し音のない音楽の表現や鑑賞にあたって、なにをどのように音楽として受け止めているのかを整理することで、特にろう者の音楽の受け止め方について言語化を試みる。 これにより、音楽を鑑賞することを希望するろう者・聴覚障害者にとって、それぞれに寄り添いかつ充実した音楽体験の実現に向けた、双方向からの建設的対話の場につなげることを目指す。

ポスター⑩研究発表「障害のある人と学生との協働によるプロジェクトの企画プロセスに関する研究-アート・デザインに取り組む福祉施設と芸術系大学との連携を事例に-」

GUOYUTING(九州大学芸術工学府長津結一郎研究室)

【キーワード】協働

【発表要旨】障害のある人と学生との協働によるプロジェクトの企画プロセスに関する研究-アート・デザインに取り組む福祉施設と芸術系大学との連携を事例に- 研究背景と目的 共生社会の実現に向けて、障害者と健常者が文化的に対等な立場で相互理解と尊重に基づく関係を築くことが重要である。(寺田 2001) これまでの研究では、共同活動の参加により、障害者と健常者が相互理解を深め、多様な意識を生み出すことが議論されてきた。また、障害者と大学生の共創的な活動を通じて、他者に対する関心やコミュニケーション能力が障害者に対する意識の変化を促す可能性が報告されている。(槇原 2023) 一方、障害者と学生が共同で活動に参加する際、障害者との接触経験が不足しているため、学生はどのように接すればよいか不安を感じることも多い。(松本ら 2023) こうした背景を踏まえ、本研究は、障害者と健常者の協働プロジェクトの企画において考慮すべき要素を明らかにすることを目的とする。特に、障害者と学生の協働プロセスを促進または阻害する要因を分析し、今後のプロジェクトにおける企画フレームワークを提案する。 研究方法 本研究では、障害者福祉施設と九州大学が協力したプロジェクト「デザインの視点から障害者とともにすごす」を事例に、大学生と福祉施設Aの利用者およびスタッフが協働して地域向けの活動アイデアを提案・実施する取り組みを分析した。全9回の授業では、前半に自己紹介や散歩を通じて共に時間を過ごし、後半に地域住民を楽しませるためのアイデアを障害者と学生が共に考えた。 本研究は、以下の2つの問題を解決することを目的としている。 問題1:障害者と健常者の協働プロセスにおける阻害要因は何か? 問題2:協働を促進するための適切なプロセスは何か? 問題1に関しては、参与観察と事後調査の質的研究法を用い、コミュニケーションの視点から授業全体を振り返る。問題2については、参与観察とインタビューを通じてデータを収集し、各プロジェクトの構築方法やプロセス中の困難、克服方法を分析する。 アンケートの研究結果 アンケート結果はKJ法により分析され、参加者の回答から、コミュニケーションの問題が協働を妨げる主な要因であることが明らかとなった。コミュニケーションの不安:多くの参加者が、初対面や初期段階でのコミュニケーションに不安を感じていたことがわかる。学生Aは「相手が何を考えているのかわからない」と不安を抱え、学生Bも言葉でのコミュニケーションが難しい状況に戸惑いを感じている。利用者Aは、普段学生と交流する機会が少ないため、不安を感じており、その結果、初めは自分の内面的な感情を表現できなかった。対等な交流を妨げると感じる:利用者と学生の双方は、障害者と健常者の間に壁が存在すると認識しており、この意識が交流における不安感を増加させている。学生Eは、社会において理解しやすい「違い」のみに焦点を当てる雰囲気が至る所に存在していると考えている。この現象は、障害の概念や意味を形成している。 「障害」という概念:学生Eは、言語によるコミュニケーションが中心になる社会の中で、言葉が伝わらないことでコミュニケーションが難しくなる状況を指摘している。さらに、言語には暴力性があり、相手を疎外する可能性があることにも気づいている。学生Cは、授業の中での「先生と学生」「先輩と後輩」といった立場の違いが、対等な交流を妨げていると感じていた。このような役割分担が、参加者同士の交流を阻害する要因となることが見受けられる。 考察と結論 本研究を通じて、障害者と健常者の協働プロセスには、初対面や初期段階でのコミュニケーションの不安が大きな阻害要因となることが確認された。また、障害の概念や立場の違いも対等な関係構築における課題となりうる。これらの課題を克服するためには、事前の交流促進活動や、役割を超えた対話の場を設けることが有効であると考えられる。 今後、障害者と学生の協働プロジェクトの企画においては、相互理解を深めるための交流の機会を増やし、立場の違いを意識させない柔軟なプログラム設計が必要である。本研究で得られた知見を基に、より多くの人が対等に参加できるプロジェクト企画のフレームワークを提案することを目指す。

ポスター⑪研究発表「演劇ワークショップが特別支援教育の現場にもたらすものとは──特別支援学校における自立活動としての演劇ワークショップを事例に」

波田光咲(九州大学芸術工学部長津研究室)

【キーワード】演劇ワークショップ 特別支援学校 自立活動

【発表要旨】本研究は、福岡県内の特別支援学校で行われた演劇ワークショップをリサーチフィールドとし、ワークショップに参加した教員に対して調査を行い、演劇ワークショップが特別支援学校という教育の場にどのように貢献したのか明らかにすることを目的とする。 本ワークショップは「自立活動」という特別支援教育特有の教科を枠組みとして行ったことが特徴である。自立活動とは文部科学省の指導要領によると「個々の幼児児童生徒が自立を目指し、障害による学習上又は生活上の困難を主体的に改善・克服しようとする取組を促す教育活動」とされている。しかし、その具体的な内容は定められていないことで生徒の実態把握・計画・実施を全て教員に任されていることから、どのように自立活動を進め方について悩む学校・教員も多いのが現状だ。(分藤ら,2024) 今回の演劇ワークショップでは、教員は参加者として関わり、さらに自立活動として進める上でコーディネーター・アーティスト・教員で打ち合わせを重ねている。自立活動に関する背景を踏まえつつ、進めていく中で教員は今回のワークショップを自立活動としてどう捉えているのか、また、自立活動という枠組み外で他教科や日々の学校生活に影響を与える点があったのかを明らかにし、本研究が今後特別支援学校の現場で演劇ワークショップを行う際の学校側とコーディネーター側の共通言語の1つになるを目指している。 調査としては、まず全4回のワークショップ終了後に対象であった高等部1年生の教員11名にアンケートを実施した。内容は【教員自身がこれまでに行ってきた自立活動との違い】【演劇ワークショップと指導要領で定められている自立活動の内容の重なり】【自立活動に関する悩みについて】【自立活動を通して生徒に身につけて欲しいこと】とした。アンケートの結果より、まず、自立活動を通して生徒に身につけて欲しいことは教員によって非常に様々であることが分かった。自立活動としての演劇ワークショップについては、全教員が内容は指導要領上では自立活動と重なる部分があると考えているが、 これまで教員が行ってきた自立活動とは、計画方法・授業の進め方が異なっており、内容としても「これまでの経験を踏まえて教員が自立活動を通して生徒に学んで欲しいと考えていること」とはやや異なっていることが分かった。また、自立活動に関する悩みも様々であり、日常的に自立活動を行う上での課題については演劇ワークショップによって解消することは難しかった。 アンケートから、演劇ワークショップは指導要領的に自立活動に当てはめることはできたが、共に授業を作り、参加した教員が「自立活動を行った」という実感は得られなかったということがいえる。 今後は、関係者全員で行った振り返りの内容やアンケートから示唆される自立活動以外の教育活動や日々の学校生活への影響はあったのか、ということを教員へのインタビューを通して明らかにしていく。

 

アートミーツケア学会 2024年度大会・総会

アートミーツケア学会 2024年度総会・大会

¿ケアのなかにあるアート?

大会・総会
2024年12月14日(土)15日(日)
前夜祭
12月13日(金)

申し込み〆切 12月7日(土)   →12月10日(火)まで延長しました!
定員 100名(申し込み先着順)
*UDトークにより字幕による情報保障を行います

会場:九州大学大橋キャンパス(アクセス

2006年3月に設立された「アートミーツケア学会」。人間の生の恢復を支えるアートやテクノロジーの役割について考え、新しい知と新しい美の地平をひらき、人の生きやすい社会、文化をつくることが目指されてきました。特にこの2年間は、オンラインでのトーク配信やセミナーの企画など、新たな企画に取り組んできました。2年ぶりに実施する大会では、改めて「アート」と「ケア」の関わり方について、その根本に立ち返りながら、あれこれとみなさんで考える場をひらきたいと思います。

主催:アートミーツケア学会
共催:九州大学大学院芸術工学研究院

大会紹介動画 ※以下の3つの動画が含まれています
・アートミーツケア学会2024年度大会紹介動画1「大会テーマについて」
・アートミーツケア学会2024年度大会紹介動画2「シンポジウムについて」
・アートミーツケア学会2024年度大会紹介動画3「開催地と他プログラムについて」

チラシPDFはこちらをクリックください

参加申込は、Peatix、WEBフォーム、メールやFAXのいずれかの方法でお申込みください。

→ Peatixから申込む

→ WEBフォームから申込む

→ メールやFAXから申込む

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12月13日(金)

◆前夜祭(オンライン)◆

18:30〜20:00 参加型トーク「アートミーツケアについてあれこれおしゃべりする会」

2年ぶりの大会となるアートミーツケア学会。そもそもこの学会ってどんな学会だっけ? 今回の大会にどんなことを期待する? など、ラジオのようにあれこれおしゃべりをする会をしたいと思います。会場でも参加いただけますし、オンラインからの参加も大歓迎。参加するみなさんと一緒に、大会に向けてエンジンをかける時間をご一緒しましょう。

進行:長津結一郎(九州大学大学院芸術工学研究院准教授)、アートミーツケア学会2024年度総会・大会実行委員、ほか

※オンラインはzoomにて配信いたします。大会にお申し込みいただいた方には、前日までに配信URLをお知らせいたします。なおアートミーツケア学会会員の皆様にはお申し込みの有無に関わらず前日までに配信URLをご案内いたします。

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12月14日(土)

◆大会1日目◆

12:00〜13:00 大会受付(多次元デザイン実験棟)

13:00〜13:10 開会あいさつ(多次元デザイン実験棟)

13:10〜15:10 シンポジウム「ケアのなかのアート、アートのなかのケア」(多次元デザイン実験棟)

ケアの現場に「アートを取り入れませんか?」と尋ねると、「アート?!」と怪訝な顔をされることがあります。一口に「アート」と言っても、美術や音楽などの伝統的表現から、創造的なふるまいや感性的コミュニケーションまで、さまざまな意味があるからでしょう。一方「ケア」にも、作業のお世話から静かな寄り添いまで、さまざまな意味合いがあります。今回のシンポジウムでは、福岡でケアの現場で活動されている方々をお招きし、改めて「ケアのなかのアート、アートのなかのケア」について、また非日常的なアートを日常的なケアにつなげる方法について考えます。

パネリスト:
酒井咲帆(株式会社アルバス代表、いふくまち保育園・ごしょがだに保育園 園長)
勢島奏子(たろうクリニック重度認知症デイケア部門担当医師)
見野由美子(NPO法人ドネルモ職員、NPO法人福岡市レクリエーション協会理事長)
山田賢祐(認定NPO法人ニコちゃんの会)
進行:中村美亜(九州大学大学院芸術工学研究院教授・副研究院長)

15:20〜16:05 緊急企画「播磨靖夫さんの歩みを振り返る」(多次元デザイン実験棟)

アートミーツケア学会の創設に尽力され、長年常務理事として学会の発展に大きな功績を残された播磨さんが永眠されました。影に日向に学会を支え、実践者や研究者の学びの場を育てた播磨さんの歩みを、みなさんと振り返ります。

16:15〜17:15 ポスターセッション コアタイム(多次元デザイン実験棟)

ポスター発表者が会場に滞在しています。発表者から直接説明を聞いたり、交流することができます。なおポスターは大会期間中いつでもご覧いただけます。(発表要旨はこちら
※複数の発表が同時並行で進行します。

①実践報告「 ART/3Cアトリプシー わたしたちでつくる、ケアとアートのしくみ ー遊びごころのある自己表現を用いた、コミュニケーションデザインの実践的考察ー」
榎原理絵(井村理絵)(さつきデザイン事務所)

実践報告「こども食堂の認知と充足率の向上を目標とした デザインとワークショップの実践報告 2023・2024」
広根礼子(金沢学院大学)

③実践報告「ドイツ生まれの滞在型市民農園「クラインガルテン」及び「オープンガーデン」からの実践報告―健康寿命維持への提案「庭育」と「田舎暮らし」」
西野昌克(関西医科大学看護学部)

④研究発表「ホスピタリティアート・プロジェクト 2009−2024」
三浦賢治(金沢美術工芸大学)

⑤実践報告「じゃがじゃがプロジェクト:メンタルヘルスケアに携わる人のサポートグループ」
大野美子(大阪大学大学院人間科学研究科)、北畑雄大(紀南こころの医療センター)

⑥研究発表「日本の演劇におけるインクルージョンの現在地 ー聴覚障害者と聴者の協働に関する文献検討ー」
永杉理惠(東洋大学)、若林陽子(岩手県立大学社会福祉学部)、清重めい(東京大学大学院教育学研究科附属発達保育実践政策学センター )、久保田めぐみ(東京大学大学院教育学研究科修士課程)

⑦研究発表「無鄰菴における日本庭園の意義発見のための作庭意図が鑑賞者に及ぼす影響の調査~日本庭園を通したケアの可能性の探索に向けて~」
城戸浩菜(九州大学未来創成科学者育成プロジェクト、大分県立大分上野丘高等学校)、長津結一郎(九州大学大学院芸術工学研究所)

⑧研究発表「音楽療法のある医療現場 ―音楽療法士と医療従事者の相互作用に着目して―」
友貞愛里(九州大学未来創成科学者育成プロジェクト 佐賀県立致遠館高等学校)、長津結一郎(九州大学大学院芸術工学研究所)

⑨研究発表「ろう者の音楽体験の言語化を考える〜“目で見るおんがく”(サイン・ミュージック)の実践を通じて」
萩原昌子(九州大学芸術工学府)

⑩研究発表「障害のある人と学生との協働によるプロジェクトの企画プロセスに関する研究-アート・デザインに取り組む福祉施設と芸術系大学との連携を事例に-」
GUOYUTING(九州大学芸術工学府長津結一郎研究室)

⑪研究発表「演劇ワークショップが特別支援教育の現場にもたらすものとは──特別支援学校における自立活動としての演劇ワークショップを事例に」
波田光咲(九州大学芸術工学部長津研究室)

実践報告「障害こども食堂の認知と充足率の向上を目標とした デザインとワークショップの実践報告 2023・2024」
広根礼子(金沢学院大学)

17:20〜18:20 アートミーツケア学会総会(多次元デザイン実験棟)

2024年度の中間報告のほか、学会として2回目となる選挙にむけてのお話も予定しています。現在の役員体制は2025年3月で終了します。会員のみなさんはぜひご参加ください。※ご欠席される方は委任状を必ずご提出ください。

18:30〜20:30 懇親会(デザインコモン1F)

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12/15(日)

◆大会2日目◆

9:30〜10:00 大会受付(多次元デザイン実験棟)

10:00〜12:00プレゼンテーション[研究発表・実践報告](多次元デザイン実験棟・デザインコモン)

(発表要旨はこちら
※複数の発表が同時並行で進行します。

①10:00~10:30  ②10:30~11:00 ③11:00~11:30  ④11:30~12:00

A

 

実践報告「ホスピタルアート受講が学生の共感力、プロフェッショナリズム教育に及ぼす効果 - 2年間の追跡調査結果 –」
池田行宏(近畿大学医学部)、森口ゆたか(近畿大学文芸学部)、三井良之(近畿大学医学部)
研究発表「ホスピタリティアート・プロジェクト 2009−2024」
三浦賢治(金沢美術工芸大学)
実践報告「筑波大学附属病院におけるアート&デザイン活動の整理とその課題」
松﨑仰生(筑波大学附属病院、筑波大学芸術系、特定非営利活動法人チア・アート)、篠崎まゆみ(筑波大学附属病院)、小山慎一・村上史明(筑波大学芸術系)、樫村宙子・佐藤恵美(特定非営利活動法人チア・アート)、岩田祐佳梨(筑波大学芸術系)
B 実践報告「ドイツ生まれの滞在型市民農園「クラインガルテン」及び「オープンガーデン」からの実践報告―健康寿命維持への提案「庭育」と「田舎暮らし」」
西野昌克(関西医科大学看護学部)
研究発表「認知症の人と地域コミュニティを仲介するアーティストの役割と課題 ~アートマネジメントの視点からの考察~コミュニティとの連携における課題~」
大村直子(東京藝術大学大学院美術研究美術専攻先端芸術表現研究領域博士後期課程3年)
実践報告「ワークショップ「人とつながり,アート&ケアに出会う」の可能性」
正保正惠・渋谷清・池田明子・古山典子・山内加奈子・宮前良平・大谷悠(福山市立大学)
C 実践報告「ART/3Cアトリプシー わたしたちでつくる、ケアとアートのしくみ ー遊びごころのある自己表現を用いた、コミュニケーションデザインの実践的考察ー」
榎原理絵(井村理絵)(さつきデザイン事務所)
実践報告を基にする研究発表「アートとケアが出合うときⅡ―子どもの言葉と大人の言葉のあいだに生まれるもの」
佐治由美子(学校法人 愛育学園)
実践報告「地域文化と環境保全と社会的包摂をつなぐアートプロジェクト:「マン川・ビジュアルポエトリー・キャンプ」の取り組み」
RIEWPAIBOON Siree(九州大学芸術工学府芸術工学専攻(博士課程))
研究発表「ロールプレイと描画を用いた「介護福祉士版体験的コミュニケーション理解プログラム」の試行と検討 ―高校福祉科2年生を対象にしたグループインタビューの分析から―」
佐野真紀(愛知教育大学)
D 実践報告「滋賀大学教育学部附属音楽教育支援センター「おとさぽ」における音楽療法の立ち上げに関する実践報告ー障害児者の支援事業の普及・定着を巡って」
山本知香(滋賀大学教育学部附属音楽教育支援センター)
研究発表「描画とオノマトペを用いた対話ワークショップにおける「言葉にできない『しんどさ』」の翻訳的ケア」
南 摩周(任意団体yoriai.)
研究発表「ラップミュージックを用いた省察と自己表現による抑圧からの解放」
苧野亮介(一橋大学社会学研究科博士後期課程)
研究発表「エル・システマジャパン相馬の活動におけるフェローの役割」
石井杏奈(九州大学大学院修士2年)

12:00〜13:15 昼食休憩 ※お弁当の注文は行いません。

13:15〜14:15 交流企画「“扉”に気づく~点と点をつなご」

ファシリテーター:マニシア(ダンスアーティスト, ダンスムーヴメントセラピスト)
心とからだの全部をつかって、広いホールでのびのび、ゆったり、アクティヴに、マニシアさんとともに動いてみましょう。自分と向き合い、ダンスを通した出会いを楽しみ、新たにつながっていく時間にしたいと思います。

14:30〜16:00 分科会(多次元デザイン実験棟・デザインコモン)

4つの分科会が同時並行で進行します。
会場:
①多次元デザイン実験棟1階 オープンスタジオ ②デザインコモン2階 ③デザインコモン1階
④多次元デザイン実験棟2階 203

①トークセッション「アートと障害の『研究会』を育むために」
障害とアートの研究会[柴川弘子(岡山大学大学院教育学研究科)、森下静香(Good Job!センター香芝)、武田 楽(NPO法人まる)
2022年度からたんぽぽの家・障害とアートの相談室にて開催してきた障害とアートの「研究会」。多種多様な問題関心を持つ参加者が、実践上の課題や悩みなどをことばにしている。
このような「研究会」は実践者が課題を乗り越える上で重要な役割を果たし、コミュニティを形成する可能性を持つ、という仮説に基づき、その成果と課題を振り返り、「研究会」を育んでいくことの意味と価値を考えます。

②ワークショップ「アート&ケアの価値を伝えるには?」
中村美亜(九州大学大学院芸術工学研究院教授)
アートとケアをつなぐ活動の価値は、現場にいる人にとっては自明でも、それ以外の人(家族、地域の人、資金提供団体、行政など)にはなかなか伝わりません。本ワークショップでは、アート活動に適したロジックモデル(手段と目的の論理的仮説を表す図)の作り方を紹介した後、参加者どうしで簡易なロジックモデルを作成しながら、活動の価値を伝える方法を見つけ出していきます。シンポジウム「ケアのなかのアート、アートのなかのケア」の続編(アカウンタビリティ向上編)です。

③ワークショップCare Caravan ケア・キャラバン
Care Creation Club
若杉 茜(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)、段 希子(デザイナー)]
日々に溢れる小さな無数のケアは、ケアという言葉を知らないとそれと気がつけなかったり、意識して行うことが難しかったりすることもあります。 このワークショップでは、ケアの手法や視点を、ボードゲームを使って理解していきます。さまざまな色形のコマで作られた情景を注意深く観察した上で、提供できるケアを楽しく考えます。ゲーム内のアクションを通じ、ケアをするための観察力を養うことを目指しています。

④トーク「シンポジウム参加報告 死の臨床現場での実践からアートの役割と可能性」
びょういんあーとぷろじぇくと[日野間尋子、森 合音]
2024 年10 月に開催された「日本死の臨床研究会年次大会」へ参加したご報告をさせていただきたいと思います。当活動からは、2008 年より北海道内で実践してきた活動のご紹介と「つらさやかなしさを持つ人々のそばにあるアート」と題した参加型の公開制作を行いました。これらより得られた知見と同様の小ワークショップを皆さんと共有することで、あらためてアートの役割と可能性について捉え直したいと考えます。

16:15〜17:15 クロージング・フォーラム(多次元デザイン実験棟)

長津結一郎(九州大学大学院芸術工学研究院准教授)、ほんまなほ(大阪大学COデザインセンター教授)、森合音(四国子どもと大人の医療センター)、ほか
この学会をどのように方向づけ、みんなの声と手でつくりあげていくのか? 理事・共同代表たちが話しあうなかで共鳴したのは、これまで積極的にはアートやケアとして語られてこなかった活動や経験にていねいに関わり、それをむずかしいことばや理屈におきかえるよりも、むしろ、はげましあったり、あらたな活動や実践へと橋渡したり、それ自体がケアの関わりや実践となるような「学会らしくない学会」でありたい、という声でした。このフォーラムでは、理事トークやオンライン・セミナー、交流企画など、あたらしく種がまかれた活動を参加者のみなさんと共有するとともに、会員、非会員のみなさんが参加できる、学会らしくない声やアイデアを聴きあう場をもうけます。

17:15〜17:30 事務連絡、終了

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参加申し込み方法

Peatix、WEBフォーム、メールやFAXのいずれかの方法でお申込みください。

→ Peatixから申込む

→ WEBフォームから申込む

→ メールやFAXから申込む

大会では、音声認識アプリ「UD トーク」を使用したリアルタイムによる字幕が提供されます。それ以外に車いすでのご来場や情報保障など、参加に際しお手伝いが必要な方はお申し込み時に備考欄もしくはメール・FAX 本文にご記入ください。

WEBフォーム、メールやFAXからお申込みいただいた方は、郵便局の郵便振替もしくは銀行振込にて参加費をご入金ください。

・郵便振替[口座記号・番号]00920-4-252135[加入者名]アートミーツケア学会
・銀行振込[銀行名]ゆうちょ銀行 ゼロキュウキュウ(〇九九)支店 当座
[口座番号]0252135 [口座名義]アートミーツケア学会

※申し込み者様のお名前でお振込みください。法人名や他のお名前ですとお振込みが確認できない場合があります。

参加費

会員:一般 /2,000 円 学生 /1,000円
未会員:一般 /4,000円  学生 /2,000円
懇親会:4,000円

申込期限 12月7日(土)   →12月10日(火)まで延長しました!

*いったんご入金いただいた参加費は、原則としてご返金いたしかねますのであらかじめご了承ください。

お問い合わせ・お申し込み先

アートミーツケア学会事務局
〒630-8044 奈良市六条西 3-25-4 一般財団法人たんぽぽの家内
Tel: 0742-43-7055  Fax: 0742-49-5501
E-mail: art-care@popo.or.jp  URL: https://artmeetscare.org  Instagram: @artmeetscare

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*学会より各種ご案内

オンライン・セミナー「境界をまたぐ〈あそび〉と創造」のご案内(URL
アートとケアを、マイノリティの視点などの、いくつもの角度からとらえなおすことを目的にさまざまなテーマの動画を有料配信しています。学会会員はクーポンコード入力で半額で購入いただけます!

入会のご案内(URL
アートやケアにまつわる現場や研究領域で活動する約200名が所属しています。メールマガジン配信、理事リレートーク動画配信など、 会員限定のコンテンツも。関心のある方はぜひお問い合わせください。

[発表申し込み受付中!]2024年度大会 展示(ポスター)発表/プレゼンテーション/分科会(トークセッション・ワークショップ)

アートミーツケア学会2024年度大会の開催にあたり、研究と交流を深めることを目的に、みなさまからの発表、展示(ポスター)発表/プレゼンテーション/分科会(トークセッション・ワークショップ)を募集します。みなさまの積極的な応募をお待ちしております。ふるってご応募ください。

応募フォーム:https://forms.gle/urAekAxqLRSZUFEy6

■エントリー締切:
A)展示(ポスター)発表、B)プレゼンテーション
2024年10月31日(木)

C)分科会
2024年10月15日(火)

下記の内容をご確認のうえ、応募フォームへご記入のうえエントリーしてください。フォームへの入力が難しい場合やご不明な点があれば、事務局までお気軽にお問い合わせください。

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<<募集要項>>

■大会日程:2024年12月14日(土)、15日(日)

■会  場:九州大学 大橋キャンパス(〒815-0032 福岡県福岡市南区塩原4丁目9−1)

■応募資格: ①アートミーツケア学会会員
②非会員の場合は、会員から推薦を受けたもの
※共同研究の応募も可。

 

■発表形式・テーマ(それぞれ応募時にご選択ください)
A)展示(ポスター)発表
下記のテーマに沿った展示(ポスター)形式での実践報告または研究発表を募集します。

B)プレゼンテーション
下記のテーマに沿ったプレゼンテーション形式での実践報告または研究発表を募集します。

C)分科会企画(トークセッション・ワークショップ等)
下記のテーマに沿った発表を募集します。形式はトークセッションやワーショップなどご提案ください。

<テーマ>
「ケア」と「アート」にひろくかかわるもの――人間の生命、ケアの現場におけるアートの役割についての研究、またアートの力を広く現代社会にいかしていく実践報告など。

内容
A)展示(ポスター)発表
【サイズ】:展示サイズ:ポスター発表の場合はA0サイズを目安にご作成くださ              い。それ以外の展示方法につきましては、事前にご一報ください。

【場  所】: 九州大学大橋キャンパス 多次元デザイン実験棟

【発表時間】:14(土)午後に60分間 (時間帯は後日発表します)
※原則、発表者は展示場所に待機し、説明などをおこなってください。

【搬入・展示時間】:14日(土)受付開始時間~15日(日)大会終了時間
※原則、当日持参・各自で展示とします。展示に必要な備品もお持ちください。難しい場合はご相談ください。

 

B)プレゼンテーション
【会  場】:九州大学大橋キャンパス 多次元デザイン実験棟・デザインコモン
【発表時間】:15日(日)10:00~12:00(予定)/各会場同時並行
※1発表あたり30分(発表20分+質疑応答5分+入替5分)を予定。

C)分科会(トークセッション・ワークショップ等)
【会  場】:九州大学大橋キャンパス 多次元デザイン実験棟・デザインコモン
【発表時間】:15日(日)14:30~16:00(予定)/各会場同時並行
※1企画あたり90分を予定。
【進  行】:当日の進行は発表者の方にお願いいたします。内容によってはアート ミーツケア学会理事や大会実行委員会と相談のうえ進行する場合もあります。

備  考
*大会当日時点において、学会誌、紀要等で発表された研究成果は対象外となります。
*ポスター/プレゼンテーション併せての応募も可能です。
*それぞれの時間が多少変更になることがありますので、ご了承ください。

■エントリー締切 ※それぞれ期日が異なりますのでご注意ください
A)展示(ポスター)発表、B)プレゼンテーション
2024年10月31日(木)

C)分科会
2024年10月15日(火)

下記の応募フォームにご記入のうえ、エントリーしてください。

https://forms.gle/urAekAxqLRSZUFEy6

フォームへの入力が難しい場合やご不明な点があれば、事務局までお気軽にお問い合わせください。

採択の連絡
学会の趣旨に沿って採択の可否を検討します。

結果の通知は、
C)分科会は、10月末

A)展示(ポスター)発表、B)プレゼンテーションは11月中旬にお知らせします。 

■応募先/お問い合わせ
アートミーツケア学会事務局

http:/artmeetscare.org/  Email:art-care@popo.or.jp
〒630-8044 奈良市六条西3-25-4 一般財団法人たんぽぽの家 内
TEL:0742-43-7055  FAX:0742-49-5501